「内なる宇宙」を読んだ
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ホーガンの「星を継ぐもの」シリーズの第4作.前作を読んでから時間がたってしまったので,記憶が曖昧なのだが,作品のテイストが結構違うような印象を受けた(以下ネタバレを含む).
お話の舞台は前作でジェヴェックスが切断された惑星ジェヴェレン.混乱した惑星ジェヴェレンを正常な状態に戻すという流れ.本シリーズには超高度な人工知能が登場する.20年前の作品ではあるのだが,最近の人口知能ブームを見ると先見の明があるなあ,と関心する.実はこの高度な人工知能は前作から登場しているのだが.
本作のSF的な見所はこの高度な人工知能の計算機内に,別の物理法則をもつ世界が誕生し,その内宇宙の住人が外の宇宙(つまり,普通の世界)に影響を与えだすところ.このおかげで,ただでさえ混乱している惑星ジェヴェレンがさらに混沌として状況に陥いる.この内宇宙の発見と内宇宙の住人達が外宇宙に侵入を試みるのをどう防ぐのか,という点がストーリー的な見所であろうか.
この内宇宙,働く物理法則が,我々の知るそれとは,全然異なり,その作中での描写もまったく異なる.だが,作品の初っ端から,内宇宙の描写が始まるので,最初は面喰った.端的に言うと読み難い.また,内宇宙が本格的に登場するのが後半なので,前半は政治的な話が多く少し退屈だった(本作は文庫本2冊分の分量である).
ホーガンの作品でのギミック(本作における内宇宙など)は,一見魔法のように見えるが,ある種の科学的な説明がつけられている.「創世記機械」なんかは良い例であると思う.本作の内宇宙も計算機内部の記憶素子(だったかな?)が粒子のように振る舞うので,法則に従った振舞をし….という感じである.ホーガンのおかげで,最近はSFに興味がでてきた.
作成者 Toru Mano
最終更新時刻 2023-01-01 (c70d5a1)