2022年のキーボード振り返り(理想のキーボードを求めて)
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在宅勤務がメインになり、自宅でキーボードを使用する時間が増えた。そこで理想のキーボードを探すために様々なキーボードを試した。各キーボードの簡単なレビューと、現時点での自分にとっての理想のキーボードを記録しておく。
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分割型、Columnar、Alice配列、QMKによるレイヤーなどを試したが、Realforce テンキーレス 英語 30g 静音タイプに落ち着いた。
今までのキーボード; Realforce 87UB SE170S
今までは Realforce 87UB SE170S を使用していた。このキーボードは10年以上前の2011年に購入した。英語配列、テンキーレス、静電容量無接点方式タイプで、当時としては珍しい静音スイッチを採用したキーボードである。
10年以上使用していたが、チャタリングなど動作の不具合はなく全てのキーが動作している。ただし、若干ではあるがLeft ControlやLeft Shiftにひっかかりを感じることがあった。
在宅勤務がメインになり、自宅でキーボードを使用する時間が増えたため、キーボードを交換して環境改善を試みた。
以前は(高級)キーボードといえばRealforceやHHKB、Kinesis、Majestouchくらいしか選択肢がなかったように記憶している。 最近は分割キーボードやQMKやcherry以外のキースイッチ、自作キーボードなど膨大な選択肢があり、自分に合うキーボードを探すのも一苦労である。2022年に複数のキーボードを試した。それぞれのキーボードの所感と最終的に選択したキーボードについてメモしておく。
試したキーボード
次のキーボードを試した。それぞれ、少なくとも1ヶ月程度は使用した。振り返ってみると結構な金額をキーボードに消費している1。
- Mistel Barocco MD770; 左右分割75%キーボード
- ZSA Moonlander Mark I; 左右分割ortholinearキーボード
- Keychron Q8; Alice配列QMK対応
- HHKB Professional Type-S; 静電容量無接点60%
- Realforce R3SD13; 静電容量無接点テンキーレス
- Keychron Q3; QMK対応テンキーレス
自作キーボードは組み立てに時間がかかりそうなため購入していない。
Mistel Barocco MD770
左右分割のメカニカルキーボード。有線接続を購入したがBluetooth接続やLEDライト付きのタイプもある。
75%キーボードと呼ばれる配列でEnterの右に1列キーが追加されている。使い始めはBackspaceを押そうとして右上のHomeを押してまうことがあった。テンキーレスキーボードなどではファンクションキー列はスペースでキーグループが区切られている(例えば、F4とF5、F8とF9など)。このキーボードはスペースがなくファンクションキーの位置も異なるため、タッチタイプが難しかった。
キースイッチは静音赤軸を選択した。他には茶軸、青軸、赤軸などが選択できる。ネット上で静電容量無接点にタイピングフィーリングが似ていると言われていたため静音赤軸を選択した。個人的な感想であるが、静音赤軸と静電容量無接点のタイピングフィーリングはまったく違う。そもそもリニアスイッチとタクタイルスイッチのフォースカーブが異なるためフィーリングが異なるのは自然である。静音赤軸はキーの押し始めに重さを感じる。静電容量無接点は押下の途中で重さを感じる。これは静音赤軸が劣っているという話ではなく、単純に慣れや好みの問題である。静音性は高く、Realforceの静音よりも静かである。
左右分割タイプなのでタイピング姿勢が改善され、体への負担も軽くなることを期待していたが特にポジティブな影響はなかった。左右分割以外はほぼ一般的なキーボードなので可もなく不可もなくなキーボードという印象である。
ZSA Moonlander Mark I
左右分割かつ各キーが上下方向にそろっているColumnar(Column Staggerdとも)なキーボード。後述する親指付近のキークラスターやキーレイアウト変更機能も加え、エルゴノミクス的改善が強いキーボードである。
親指にスペースバーでなく、キークラスターが配置されている。ここにSpaceやEnter、Backspace、修飾キーやレイヤーキーを配置する。通常のキーボードでは親指はスペースバーを押すだけなので、親指が複数のキーを押せるようにして、他の指の負担が小さくなると期待できる。
キーレイアウトはウェブブラウザから自由にカスタマイズできる。例えばスペースバー長押しでCtrとして機能させるMod-Tapが利用できる。これを利用してHome Row(asdfjkl;)にCtrl, Shift, Alt, Win機能を追加するHome Row Modsなどが実現できる。
親指のキークラスターとカスタマイズ機能により、非常に自由度が高い。自分の使い方に応じて最適化なキーレイアウトを実現できる。例えば、可能な限り指をホームポジションから離さないレイアウトなどである。簡単にキーレイアウトを変更できるので、レイアウト変更して、試すの無限ループになり、時間が溶ける。
また、キースイッチはホットスワップに対応しているの自分の好きなキースイッチに交換できる。次はキースイッチをHako Violet交換した際の写真である。 Hako Violetはタクタイル系のスイッチで押下の前半にタクタイルの山がある(cf. https://chart-studio.plotly.com/~haata/473/input-club-hako-violet/#/)。個人的にはメカニカルスイッチの中で最も好きなスイッチである。
ハードウェアとソフトウェアの両面でカスタマイズ自由度が非常に高く、自分にあった設定を見つけられれば理想のキーボードになれる可能性をもっている。私の場合、タイピングの癖が合わないのか、原因は不明だが、Moonlanderを使用していると右手首と右肘に違和感や痛みを覚えるようになったため、残念ながら使用を停止した。また、親指キーを有効活用できなかった。自然な姿勢では4つあるキーのうち、2つしか利用できなかった。そもそも、私の親指は複雑な動きをするのが苦手のようである。
Keychron Q8
Moonlanderの次に購入したKeychron2キーボード。Alice配列という通常のキーボードをベースに手が八の字になるようにキー配置が変更されている。 B
のキーが左右に配置されていたり、左右のスペースバーの内側に fn1
, fn2
キーが配置されている点が通常のAlice配列と異なる。QMKに対応しており、キーレイアウトを自由に変更できる。また、キースイッチのホットスワップにも対応しており、スイッチを後から変更できる。
今までのキーボードと違いフレームがアルミであり、キーボードの重さも1.8kgである。あの重いと言われるRealforceが約1.2kgであることを考えると、どれだけ重いか想像できると思う。この重さのおかげかキーボードが安定し、タイピングフィーリング他のキーボードと異なり安定感が増したように感じる。いわゆるモノとしての質感は非常に良い。
ファンクション列がないが fn1
もしくは fn2
をレイヤー切り替えに割り当てることで数字列などにファンクション機能を割り当てることができる。この際 fn1
と fn2
の両方があるため、左右どちらの手でもレイヤーキーを押せるため便利である。
Alice配列によってタイピングしやすくなることを期待したが、改善は体感できなかった。むしろ -
や =
キーが遠く感じた。また、独立したファンクション列がないため Alt + Fn4
などのキーコンビネーションを押すためには3つのキーを同時押しする必要があった。
QMK対応でカスタマイズ自由度が高く、Alice配列で見ためも良いが、Moonlanderと同様に使用していると右手首に違和感を覚えるようになったため使用を停止した。このあたりで自分には通常のテンキーレスなどの配列が適しているのではないかと考え始めた。
HHKB Professional Type-S
高級キーボードの代名詞、静電容量無接点方式の60%キーボード。自分はメカニカルスイッチよりも静電容量無接点方式が好みであることを再認識した。
60%のコンパクトデザインであるため、矢印とファンクションキーは Fn
と同時押しする必要がある。個人的にこれらのキーは独立キーとして存在したほうが好みである。
Realforce R3SD13
これまでの経験から自分にはテンキーレスな静電容量無接点方式のキーボードが合うのではないかと考えた。この条件に合致するのはRealforceかNIZ X87くらいである。RealforceにはR3(無線接続)とR3S(有線のみ)がある。自分の場合は有線のみで十分であり、NIZとの価格差もなかったので、Realforce R3Sを選択した(R3に有線かつ英語バージョンはない)。あとはキー荷重であるが、30gか45gの二択である。軽いほうが負担が少ないかなと思い30gを選択した。
キー荷重が30gであることを除けば普通のRealforceキーボードであり、機能については様々な場所で宣伝されているので省略し、ここではキー荷重とキーキャップについてメモしておく。
キー荷重の30gと45gはまったくの別物である。わずか15gの差であるが、30gは非常に軽い。少ない力でキーが入力できるが、タクタイルフィードバックにより、確かにキーを入力したことが触覚で判断できる。30gの後に45gを使うと非常に重く感じる。この30gに慣れると他のキーボードは使えなくなるというのも理解できる。
ひとつだけ残念な点があるとすればキーキャップである。キーキャップの材質もしくは表面加工が以前のRealforce 87UBや他のPBTキーキャップ(KeyChron)と異なるように感じる。他のキーキャップがスベスベやツルツルで肌触りが良いのに対してRealforce R3SD13は妙なひっかかりを感じる。素材が変わったのかと考えたのだがメーカーサイトで確認したところ以前と同じPBTと記載してあった。とすると、表面加工が異なるのだろうか。ただ、常時気になるわけではなく、本当にときどき気になる程度である。
Keychron Q3
割引きで販売されていたため購入してしまったKeychron2キーボード。テンキーレス、QMK対応、アルミフレーム、ホットスワップ対応のメカニカルキーボード。黒系のキーボードばかり購入していたため、グレーを購入した。
次は購入時に搭載されていたGateron G Pro BrownをKailh Box Silent Pinkに変更している際の様子。Kailh Box Silent Pinkは押下圧35gなリニアスイッチ。軽く滑かである。
QMKに対応しているため、キーレイアウトをカスタマイズできるが、テンキーレスであるため、ほぼ全てのキーが独立キーとして存在しているためカスタマイズの必要性が薄い。
Keychron Q8と同様にアルミフレームを採用しており、その重さは2.0kgである。重いだけあって少しのことではキーボードがズレない。しかし、今度は逆に重すぎるため、キーボードを少しだけ移動するのもひと苦労である。安定感という意味ではRealforceあたりの1.2kgで十分なのかもしれない。Keychron Q8と同様にモノとしての質感は良い。アルミフレームの高級感やキーキャップの滑かな指触りを体験できる。
試したメカニカルキーボードの中では一番好みであるが、スイッチ自体は静電容量無接点方式が好みである。
最終的に選択したキーボード
様々なレイアウトやスイッチを試した結果、自分の好みは標準的なテンキーレスレイアウトと静電容量無接点方式スイッチであることが分かり、Realforce R3SD13(テンキーレス、30g、有線)をメインで使うキーボードとして選択した。
結局、RealforceからスタートしてRealforceに辿り着いたわけである。新しいRealforceキーボードも10年くらい使えて欲しいものである。
(このメモはRealforce R3SD13とKeychron Q3で書いた。)
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作成者 Toru Mano
最終更新時刻 2023-01-01 (c70d5a1)