最近読んだ本のまとめ 2016年11月
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最近,ここ半年くらいに読んだ本のメモ.新しい順.
「やさしさ」という技術
他人にたいして優しくすることが,結局は自分だけでなくまわりの人々に好影響を与え,短期的には損かもしれないが,長期的には大きな利益となる.そのようなことを平易な語り口と説得力のある事実をまじえつつ説明していく本.
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.
分かっちゃいるけど,実際行動するのは難しい.ただ,確固たる信念もなく行動するのは誰のためにもならないよね.
限界費用ゼロ社会
資本主義の次の主役となる経済,共有型経済の解説と,それが資本主義から主役を奪う理由など.夢が多い話ではあるけど,グローバル化がそうであったように,結局は少数の人だけに利益がいくような仕組みになっちゃう可能性もあるんじゃないのとも思う.
ただ,資源は有限なのでいつか,成長指向の資源消費型社会に限界がくるのはみんな分かっているが,それは遠い未来なんじゃないのと考えている人も多いと思う.技術が進んで宇宙の資源とか考えると,まあ競争が続く可能性もあるわけで.
資本主義の終焉と歴史の危機
タイトル通り,もう資本主義は終りだ,という本.その理由は開発すべきフロンティアがなくなったというもの.資本主義社会は大陸,海,植民地,金融空間をフロンティアとして,成長していったが,もう開発すべきフロンティアがないので終了という話.実際,先進国では低成長が続いていて限界がきているとのこと.じゃあ,どうすれば良いのと当然思うのだが,それに関しては記述がない.上の共有型経済が解なのだろうか.
フロンティアが本当にないかは議論があると思う.ないと証明するのは,悪魔の証明なので,まあ無理なのだが.歴史をふりかえっても,最初にフロンティアを発見し,そこを我が物にした国家が覇権を握っているので,そう簡単には見つからないので,今ないから,なくなったとするのは時期尚早なのでは,と思う.いや,本当にないのかもしれないけど.
アルゴリズムが世界を支配する
誰か有名な人がソフトウェアが全てを喰らいつくす,的なことを言っていたけど,それかなあ.(読んだのが大分,昔で記憶があいまいなのだけれど).計算機,いわゆるパソコンの能力がある面では人間を凌駕しているので,計算機が人間社会で大きな影響を,多くの人に見えないかたちで与えているという話かな.
高速取引の先駆けをやった人の話が興味深かった.昔の金融取引は量が膨大だったので,よく探せばノーリスクで儲けられる取引の組合せ(裁定取引というのかな)が多数存在していた.人間は膨大な組合せから裁定取引を発見することは無理だけど,計算機にはそれができた.そこに気付いて大金もちなった人の話.読む前は,なんという今流行の機械学習的な手法で将来の値動きを予測するのかと思っていたけど,未成熟な市場の欠陥を突くというチートだった.そりゃ儲かるという思いと,やっぱり未来予測は難しいのかという感想.
日本人の英語
英語の勉強でもするかと思い読んだが,結果,勉強にはならなかった.これは超上級者向けという印象.
ネイティブ向け,プロの文章を書くには必要な知識と思うが,ノンネイティブという立場で書くなら,これ以前の基礎的な部分をしっかりすべき.というか,基礎というか文法とか語彙とかテクニカルライティング完璧ですという段階で始めて,役に立つ気がする.特に科学技術系文章の場合はカッコイイとかこなれているとかよりも,明瞭さ・簡潔さが重要だからだ.そういう意味では次のような書籍のほうが役に立つ.
失敗の本質
過去の歴史から学ぼうと思い読んだ.予想外に歴史的読みものとして楽しんでしまった.戦争について知らないことが多すぎると痛感.
未来から選ばれる働き方 「会社がなくなる時代」のキャリア革命 PHPビジネス新書
内容が記憶に残っていない.
私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史―
タイトルの通り,なんで税金を納めるのか,というか,税金というもの,どのような歴史で一般庶民に受け入れられてきたのかに興味があった.だって,税金なんか払いたくないでしょ.これも歴史的読みものとして面白かった.いろんな政治家,学者さんが登場するが本書を読んでいて,社会を良くしたいという彼らの情熱が伝わってくるようだった.
なぜ,税金が受け入れられたかたというと,戦争で国の金がなくて,このままだと国が滅びるような状況だったから.まあ,背に腹は変えられんよね.そこから,税金で富の再分配をしたり,将来のための投資の足しにしたりと社会政策に使用されるようになってきたそうだ.
最後のほうには,最近話題の大企業の租税逃れに対して,国際金融課税なんていうのもありました.ただ,上の本を信じるならば,資本主義はそろそろ終焉のようですが…
中国4.0 暴発する中華帝国
お隣さんのことは良く知っておかないとね.
日本人が知らない集団的自衛権
一応まじめに読んだけど良く分からなかった.日米同盟が大事だってことは分かったし,集団的自衛権も悪いものではないという理解まではいったが,メディアで使われる場合の集団的自衛権と,本当の集団的自衛権との差分が明瞭にはなっていない感じ.
作成者 Toru Mano
最終更新時刻 2023-01-01 (c70d5a1)