「一九八四年」を読んだ

一九八四年[新訳版](ハヤカワepi文庫)

タイトルは知っていた.ビッグブラザーも知っていた.様々な作品の元ネタになっていることも知っていた.「動物農場」も読んだことがあった.しかし,本書「1984年」は未だに読んだことがなかった.最近観たアニメ(PSYCHO-PASS)で言及されてたので,遂に読んでみた.

ちなみに私はKindle版を購入して読んだが,巻末の解説が未収録だった(文庫本には20ページほどの解説が収録されているらしい).読了後に知ったのだが,クリエイティブ・コモンズで日本語訳が公開されている.

よく監視社会の例として引き合いに出される本書であるが,監視社会という表現ですら生温い.読んでいてゲンナリするほどである.行動のみならず,思考や本能すら制限,監視される.支配層は人々から人間性を完璧に取り除こうとしている.そんな状況で主人公は最後まで人間性を保つため必死の努力を続けるが…

嫌になる場面が多々あり,呆れるほどのディストピアが描かれているのだが,そこまで我々の社会とかけはなれているようには感じられない.一歩間違えれば,我々の社会も「1984年」で描かれているような状況になってしまうのではないか.いつまでたっても格差はなくならない.膨大な情報を我々は処理できずある程度鵜呑みにしなくてはいけない.そこかしこに溢れるダブルスタンダード.本書で登場する概念,二重思考,突飛な発想であり,非現実的ではあるが,誰しも似たようなことを経験しているはずだ.社会について考える契機となる本.読後感は良くないのだが,読んで良かった思える本である.

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル
早川書房
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