「異端の統計学 ベイズ」を読んだ
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ベイズについては,条件付き確率を求める公式?程度の認識だった.最近,ときどき耳にする(機械学習の文脈かな)ので気になっていた.ベイズ統計が何なのか知りたくて読んでみた.
理論の内容が知りたくて読んだのだが,どちらかというと歴史書のような体裁だった.ベイズの定理が誕生したところから,現代までの科学界でのベイズへの認識や,社会への貢献や,ベイズ賛成派だった人やベイズ反対だった人達の話である.というわけで数式はほぼ登場しなかった.ただ,読んでよかったと思う.
私の中での確率というものは,頻度しかなかった.つまり,無限に繰返した試行での相対頻度である.しかし,世の中には,確率というものに対して別の解釈というか,捉え方があるらしい.個人的な信念の度合いとしての確率である.こんなの何の役に立つのだろう,という気もするが,これがベイズと深く結びついている,ということが本書を読んで理解できた.頻度主義の弱点というか欠点は無限の試行を前提としていること.実際問題として,同じ条件で試行を膨大に繰り返すことは難しい(例えば災害や大きな事故).こういう場合はベイズが役に立つ.特に,手持ちの正確な情報が少ないながらも,素早い意思決定が必要なとき(戦争等の状況)に有効だそうだ.しかしながら,この信念の尺度としての確率は当時の科学界には受入れ難かったようで中々その真価を認められなかったようだ.
ベイズは第一次,第二次世界大戦で多大な貢献をしたが,その成果のいくつかは軍事機密として非公開にされたいたそうだ.こういった理由もあり,ベイズが広く認められるようになるまで時間がかかったようだ.その歳たる例がチューリングによるエニグマの解読だろう.国に貢献したのに,その功績が認められないとは報われない.チューリングの他にもフィッシャーの人柄なんかも興味深かった.
まあ,そんなこんなで確率というものの別の解釈とやっぱりチューリングは凄いことを再認識した(イミテーション・ゲーム観てみようかな…)
作成者 Toru Mano
最終更新時刻 2023-01-01 (c70d5a1)