科学者対政治家(或いは軍隊)のSF版.SF部分は統一場理論ができたところからはじまる.本作は,もし統一場理論があったらなら,という唯一つの仮定から驚くほど多様な応用技術を展開していく.読んでいるうちにこれが本当に実現できるかもしれないという錯覚に陥いるほどリアルな描写が続く.読んでいて楽しい.

また,本作の別の側面である科学者対政治家(或いは軍隊)は何かというと,科学というのは政治的,軍事的な手段として彼らに奉仕してきた.科学者の頭脳が真理の追求ではなく,軍事兵器開発のようなもの使用されていた.本作は主人公がこの状況を科学の力によって反覆する物語である.読後スッキリとする.理系にオススメである.

創世記機械 (創元SF文庫)
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