短編10本と解説1本.ベストと銘打ってあるだけあり,どれも伏線,仕掛け,展開が練られており,それが短編の中に凝縮されているので読んでいて面白い.

元々は麻耶雄嵩の短編があったので読んだのだが,他の短編も良かった.特に印象に残っているのは,前述の麻耶雄嵩の短編,リアル神様が登場する『神様ゲーム』の続編である『バレンタイン昔語り』と,乾くるみの『ラッキーセブン』

『バレンタイン昔語り』.意地悪な神様,鈴木くんが登場する.鈴木くん殺人犯の名前を主人公に告げるのだが,それがキッカケで事件が発生するという皮肉.しかも,鈴木くんはこの展開を予想して,行動していたとか,性悪ですわ.相変わらず,登場人物が小学生の割には思考がかなり大人っぽくてシュールである.

『ラッキーセブン』.誤解を恐れずに言えば,トランプを使用して人狼likeな心理ゲームを命を賭けて行う話.濃密な心理戦が楽しめる.